
感情ゼロ(かんじょうぜろ)
まずは、6 月 28日(金)〜6月 30日(日)まで行われた、江戸村特別公演『お吉物語』にご来場頂いた方々、誠にありがとうございました。
幕末の激動を強く生きた女性・お吉を演じさせていただきました!
いかがでしたでしょうか?
さて、話は変わって・・・。
よく舞台の稽古場ではこんな声が飛び交う。
「感情入れろ!」
「感情が違う!」
声だけならまだしも、
たまに灰皿やパイプ椅子だって飛んでくるなんてこともある。
……らしい。
そして、なぜできないのかと聞かれたとき、
何人かに一人はこんな言葉を言う。
「私、感情ないんです」
「僕、感情ゼロなんです」
結論から言うと、
感情がないということはありえない。
皆さんの中で感情というと、”喜怒哀楽”を思い浮かべるかもしれませんが、
ロバート・プルチックは「感情の輪」を提示し、
それによると、感情は“8つの基本感情”と“16の強弱派生”、及び“8つの応用感情”から成り立つ。
……らしい。
(Wikipedia参照)
ちなみに“8つの基本感情”とは、
喜び、着たい、怒り、嫌悪、悲しみ、驚き、恐れ、信頼。
……らしい。
そして、“16の強弱派生”とは、
恍惚、平穏、軽快、興味、激怒、煩さ憎悪、退屈、悲痛、憂い、驚嘆、同様、恐怖、心配、感嘆、容認。
……らしい。
(Wikipedia参照)
とまあこんな感じで、
何が言いたいかというと、
”感情がない”や”感情ゼロ”というのはただの言い訳でしかないから、それは間違い!
だからグダグダ言ってねえで、もっと考えてやれよ!
と言って灰皿を投げる私であった。
では、また。
とまあ、
これで話を終わらせるのも申し訳ないので、
もう少し掘り下げて考えてみる。
ここからは僕の考えですが・・・
僕が思うに、
「感情がゼロ」と言う人は本当は、
「感情表現が苦手」なのだと思う。
もっというと、「適切な感情表現が苦手」なんだと思います。
役を演じる上での話ですが、
役を演じ、心の中で表現すべき正しい感情を持っていたとしても、それを的確に表に表現することが、苦手というか、その術を知らないんだと思います。
たとえば「ありがとう」という言葉。
感謝を表す言葉。
誰しもが何度も口にしてきた言葉だと思います。
でも、同じ「ありがとう」でも使う状況によって、感謝の度合いって違いませんか?
「そこのリモコンとって」と言われたときに言う
「ありがとう」
家族や友人からプレゼントをもらったときの
「ありがとう」
25億の借金を肩代わりしてもらったときの
「ありがとう」
上記は同じ「ありがとう」でも、心の中にある感謝の度合いは違うはずです。
度合いが違えば、「ありがとう」の言い方も当然変わるはず。
だから、ちゃんとその違いが分かるように、役者は表現しなければなりません。
では、
それができるようなるためには?
いくつかの方法を・・・。
たとえば、自分の中で数字を決めるのもいいかもしれません。
0~100%の「ありがとう」を自分の中で決めます。
10%の「ありがとう」の言い方はこんな感じだなとか、
80%の「ありがとう」の言い方はこんな感じかなみたいに、
自分の中である程度の基準を決める。
そしてその使い分けができるように練習すれば、
少しずつ感情表現が自在にできるようなると思います。
また、他の言葉に言い換えて練習するのもいいと思います。
「(リモコン取ってくれて)ありがとう」
→「サンキュー」「あざっす」
「(お金を貸してくれて)ありがとう」
→「このご恩は一生忘れません」
のようにその言葉にこだわるのではなく、
別の言葉に言い換えて練習すれば、
表現しやすいかもしれません。
そして、
サンキュー、
サンキュー、
ありがとう。
このご恩は一生忘れません、
このご恩は一生忘れません、
ありがとう。
みたいな感じで、
最初の2回を言い変えた言葉で発音して、
3回目を最初の2回と同じテンションで言葉だけありがとうに変えて言ってみる。
こういう練習も、感情表現が苦手な人には有効な練習だと思います。
などなど、練習方法はいくらでもあると思います。
重ねて言いますが、
役者というのは台詞を、
適切な感情で表現しなければなりません。
“感情がゼロ”とか“感情表現が苦手”と感じている人は、
こういう練習をしてみてはいかがでしょうか。
では、また。